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ルルルルズ 3rd album「僕らの生まれた町」発売記念

スペシャル対談 ① ルルルルズ x 中村公輔<第2回>

2019.10.12

3rdアルバムのレコーディングを担当したエンジニアの中村公輔氏と、ルルルルズメンバー奥野大樹が、レコーディングとミックスに関する秘密を語る…?
これを読んだら、発売までもう待てない!

− 新しいミックスの方法について、お二人での話し合いや相談をしたと思いますが、どのようなものを聴いて、どのあたりを取り入れたのか、具体的にありましたら教えてください。

中村:いろいろ聴いた中で僕が意識したのは、ライアン・フリーランドっていうエンジニアですね。最初は「リズ・ライト」とかそのあたりを聴いたのですが、彼のミックスを聴いたときに、サウンド的にもフレッシュでいい感じだし、この方向性いいねって話になったんです。その後で、彼が手がけた作品をちょっと遡って聴いてみたら、2015・16年あたりから激変してたんですよね。

 それ以前の音は自分でも作れるし、やってたことがある音だったんですよ。言ってみたらルルルルズの2ndの方向性だった。激変したのが、ちょうどストリーミングやYouTubeのラウドネス規制というか、そういったものが出てきた時なんです。それまでだったら、70年代っぽい音にするときは、レコードを作ってた当時みたいな音にするし、もうちょっと音圧を上げて大きい音で聴かせていく、みたいな方向で音を作ってたと思うんです。けれどパツパツに音圧を詰めたからっていって、ストリーミングでは大きな音を鳴らせないメディアなので、ある一定以上のデカい音を鳴らすと音量を下げられちゃう。2016年くらいから、その規制の中で良い音を聴かせる方向で、模索してるのが面白いなって。リファレンスっていうかね、考え方に同調したっていう感じですね。

 内容が違うからもちろん違うことにはなっていますが、今っぽい音にしようっていう風に最初考えたのは、そこがスタート地点だと思います。

 

奥野:レコーディングをしていたときは70年代サウンドにしようとしてたんですよ。

中村:まあそうだね、実際ね。

奥野:でもミックスの段階で色々参考に聴いてみたら「あーやっぱこれやりたい」って。結構聴きましたし、チャートもたくさん見ましたよね。

 

中村:そうだね。世界各国の。

 

奥野:そうそう。(笑)

 

中村:Spotifyとかでチャートを見られるじゃないですか。それで各国のチャートのトップ20位までを全部聴いていったよね。

 

奥野:メキシコとか中南米まで聴きましたもんね。(笑) あれはなかなか面白かった。

 

中村:やっぱり先進国のいくつかは同じ方向性の音になっていっている中、完全にガラパゴスな感じの国もいくつかあって。

 

奥野:多分日本もそれなんですよね。

 

中村:そうだね。日本に来るフェスの特集のプレイリストを聴いたりすると、ボーカルが出てくる前に、これが日本か海外かって瞬間的にわかるでしょ、って。(笑) そのくらいのサウンドの傾向の違いがあって。そうはしないように、ってのはもちろんありましたよね。

 

− 素朴な疑問として、新しいミックスというのは具体的にどういったことですか?

奥野:一番わかりやすいところで言うと、Low感は違うんじゃないかな。音の詰め方とか、空間の使い方とかは僕目線でも全く変わってる感じがしてますね。

 

中村:それは本当にそうですね。低音は全然出してっちゃってもOKだなって思って作ってるのは大きいですね。2ndはそんなに低音入れてないから。

 

奥野:今作と比べると前作はだいぶハイファイな感じですよね。

− 確かに2ndに関しては、今聴いてみてもサウンド的に結構ハイファイな印象を受けるのですが、意外と低音が出てる感じはないですよね。

中村:まあそうですね。最近は低音を出していいから。

 

奥野:中村さんがリファレンスとして聴かせてくださった、ポール・マッカートニーの「エジプトステーション」は面白かったですね。ローファイなんですよ、すごく。ポールのサウンド感っていうか、あの感じはそのままに、ローファイなんですよ。それがすごく面白いなと思った記憶があります。

 

中村:ポールもその時代を生きて来た人だからっていうのがあると思うけど、今の人の方がむしろ昔のサウンドに行こうとして、昔っぽく作っちゃったりするけど、昔からやってる人のほうが、新しいサウンドを目指して自分のやってることを今のフォーマットの中で聴かせようとしていることがあったりするから。

 

奥野:昔の人が今っぽくして、今生きてる我々が昔っぽくしたがるみたいなとこは結構ありますよね。音楽に限らずカルチャー全体で、ファッションもそうですけど。自分たちが未知のところに行きたがるんでしょうね、結局は。

 

中村:そうね。今のテクノロジーっていっても、すごくわかりやすく現代的なエディットをしてるとか、っていう方向ではないから。メカっぽい感じにするっていう現代性じゃなくて、現代のいい音で録ったらどうなるのかみたいな方向ですかね。

 

奥野:だいぶマニアックな話に(笑)

 

中村:そうね(笑)

 

奥野:聴いてる人の現代感って、多分そういう感じですよね。メカっぽくてエフェクティブでっていう感じだと思うんですけど、またそれとは違う感じがあって。

− 嗜好いうか、思惑というか、そういった考えがミックスにかなり影響を与えている印象を受けますね。

奥野:ミックスがじわじわとボディーブローのように音楽に影響を与えてるんですよ。なんていうか、我々が聴いているものでも、本当はそれは音楽の内容じゃなくてミックスがいいからカッコよく聴こえてるみたいな、そういうものはいくらでもあると思うし。ただ、結構な人がそれに気づかないから、エンジニアの職業って扱い的に不遇というか、なかなかスポットが当たりにくいところで。そこは理解されてほしいと思いますけどね。

 

中村:そうは言ってもソース次第なので、音質をこうしたいと思っても、アレンジや演奏がそう出来る状態になければ出来ない。現代的な感じに音を間引いてミックスができたのも、ルルルルズの音楽だからっていうのもあって。

 

奥野:ありがとうございます。

 

中村:いやそれはもう本当にね。例えば最近、特に邦楽はそうですけど、むやみに音を積みまくるじゃないですか。そういう風に音を積みまくっているものは、ミックス段階でのサウンドの作りようがないんですよね。

 アレンジの状態で音色が全部ペタペタに詰まってると、削る方向の作業しか出来ない。例えば一個一個の音色を魅力のあるサウンドに変えようとか、芳醇な音で鳴らそうって思うと、倍音を増やしたり太くしたり、元音よりもスペースを食ってくんですよ。最初から全部埋まっていると、グチャグチャになってしまう。

 楽器が多すぎると、最低限ここだけ鳴っていればわかるなってところだけに削り落として積んでいく、みたいな処理しかできなくなってしまうんですよね。それがルルルルズの場合は、楽器は色々入ってるって言っても、必要のない音は入ってないと思うんですよ。だからミックスの段階で音作りをする余白があった。

 例えば、同じように楽器が大量に入ってるっていっても、空間を埋めるためにとりあえず足してる音だとか、ユニゾンで似たようなラインを入れといて補強しておくとか。間を埋めるための音が異常に入ってるっていうことがよくあるんです。やっぱりどんなにいいソフト音源であっても、音色が作り込まれていて「この楽器の音はこうですよ」ってところ以外は削ってあったりするんですよね。のりしろの部分が無いから他の楽器と接着しにくい。

生楽器だけでやっていると、そう言う無駄を省いて、音楽的に必要な音だけで聴かせられるから、それを生かすような音作りをしようってのを、今回は特に考えてやりましたね。

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